EVの航続距離はバッテリーの容量に左右されます。燃料で動くエンジン車と違ってEVは動力源(燃料やバッテリーのこと)の再補充に時間がかかり、速やかな再充電が難しいためです。
それを解決する手段の一つとして、以前の記事でカーシェアリングによる解決を以前の記事に書きましたが、別のアプローチでこの問題を解決する手段が実用化に向けて実験が進められているようです。
バッテリー交換サービスが普及するために必要なこと
このバッテリー交換サービスが実用化されれば、EVの弱点である航続距離と再充電にかかる時間の問題は解決したといっても良いでしょう。しかし、実用化にはいくつもの問題が待ち受けているように思えます。バッテリー交換サービスが普及するためには、バッテリーの規格化と補給場所におけるバッテリーの保管場所の確保、そしてバッテリーの共有財化が必要だと思います。
バッテリーの規格化
現在、EVに使用されるバッテリーは各自動車製造会社がそれぞれ専用に用意しています。また、大容量バッテリーは交換しないことが前提になっているので、取り外しに関しても簡単なものではありません。
バッテリー交換サービスを前提にしたEVを新たに開発する必要があることと、交換の簡素化のためにバッテリーの取り付け位置や取り付け方法も共通化する必要があるでしょう。
バッテリーを保管する場所が必要
現在燃料の補充はガソリンスタンド(以下SS)が主な補充場所となっています。現在のEVの再充電は協力施設の充電スタンドで行われていますが、時間のかかる再充電は客数を稼がなければいけないSSとは相性が悪いです。
バッテリー交換サービスによって回転率が上がれば、SSでの交換サービスも現実的になってくると思います。ここで問題になってくるのがSSの敷地です。現在のEVのバッテリーは巨大なものです。
これを1日に数百の出入りのあるSSで賄おうとすると、常に数百個のバッテリーを持っていなければなりません。バッテリーを風雨にさらすわけにはいきませんから屋根壁のある建物に入れる必要がありますし、再充電も必要です。このあたりをどう解決するのか、それが問題です。
バッテリーの共有財化
バッテリーを公共の財産とすることが、バッテリー交換サービスの普及の大前提といえます。燃料をいれるのと同じ感覚でバッテリーの利用料という形で交換ごとに料金を徴収し、バッテリー交換サービスの運用資金とする必要があります。これは非常に公共性が高く独占しやすい事業になるので、法整備などによって規制をかける必要があるでしょう。
バッテリー交換サービスは一般ユーザー向けではない?
バッテリー交換サービスはエンジン車と同等の航続距離を得られる方法としては、とてもいい考えだと思います。しかし、各家庭で充電することが出来て普段はそれほど著距離を走ることのない一般ドライバーにとってはそれほど必要のあるものではないように思えます。
1日に千キロ近く走るか、重量物を運ぶバッテリー負荷の大きいユーザーといえば、運送業がこれに当たるでしょう。ということは、バッテリー交換サービスは事業者向けとしての側面が大きいのではないかと考えられます。
自動車の新しい局面が迫っている
脱炭素の動きは世界的に大きなながれとなっており、自動車業界でもその流れからEV、燃料電池など、新たな動力源を巡る動きが活発になっています。
1896年に最初のガソリン自動車が誕生してから百年余りが過ぎ、幾多の進歩を経験した自動車ですが、もしかしたらこの先十年そこそこで「内燃機関からの卒業」を迎えるかもしれないと思うと、これからの業界の動向が気になりますね。
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