集中豪雨が多く、洪水や河川の氾濫がここ数年毎年のように起こっています。豪雨の中でも出社しなければならない人もいるでしょう。そんな時、冠水した道を見つけたら迂回すると思います。
実は、車は水没すると色々な場所にダメージを負い、最悪の場合エンジンが修理不能な大ダメージを受けてしまう可能性もあるんです。今回は、冠水した道路に入ると車にはどんなことが起こるのかについて紹介します。
車が水没すると起こること
電気系統がショートする
車の電気系統は、雨の吹き込み程度なら耐えることが出来ます。しかし、完全に水に浸かってしまうしまう状況は想定していません。そのため、防水が出来ていない部分がショートし、コンピュータやECUが破損してしまう可能性が高いです。そうなった場合、走行は不可能になってしまいます。
油脂類が洗い流される
車は、ドライブシャフトの潤滑やステアリング周辺などの可動部に潤滑剤としてグリースが塗布されています。そういった部分が水没すると、グリースが洗い流されて可動部の金属が直接当たってしまうことになります。そうなると、部品が摩耗して部品の寿命が短くなってしまいます。
エンジンに水が入る
エアインテークやマフラーから水が侵入し、エンジンに水が入ってしまうとエンジンが壊れます。特に吸気系に水が入ると、ウォーターハンマーという現象が起こります。ウォーターハンマーとは、エンジンの燃焼室に侵入した水が空気と違って圧縮出来ないために、コンロッドを破壊したり、エンジンヘッドを吹き飛ばす現象です。
ウォーターハンマーが起こったエンジンの再始動は絶望的です。少なくともエンジンのフルオーバーホールが必要になるでしょう。
自動車の走れる水深
自動車が走ることの出来る水深は、車種や装備によって変わってきます。なので、一概に何センチまでなら安全に走れるとは言えません。なので、車の各部に対する水深から自動車の走れる水深を考えてみましょう。
マフラーまで
マフラーが浸かる水深では、自動車は走ることが出来ます。しかし、エンジンの排気圧力が水圧に負けるとエンジンが停止してしまいます。そのため、アクセルを開け続ける必要があります。
車高まで
車高まで水深があると、車体下部のドライブシャフトやタイヤ周りの清掃と給脂が必要になります。漂流物によって車体に傷が出来ることもあるでしょう。
フロアまで
フロアよりも水深が深くなると、車体の隙間や排水用の穴などから水が侵入してきます。体はもちろん水に浸かりますし、シートやフロアマットは水に浸かることになります。
エアインテークまで
エアインテークに水が侵入すると、ウォーターハンマーによってエンジンが破壊されます。この時点で走行不能なので、車を放棄しなければなりません。修理にも多額の修理費がかかるでしょう。
冠水路に潜む浸水以外の脅威
侵入時の速度による車体の破壊
プールへの飛び込みに失敗して、したたかにお腹を打って痛い思いをしたことはありませんか。水の衝撃吸収能力は高くなく、20メートルの高さから水面に落下するとコンクリートの地面に打ち付けられるのと同じ衝撃がかかるそうです。
それと同様に、速い速度で冠水路に侵入すると、衝撃によって車体前面のバンパー、ラジエーターが破損します。
漂流物による車体の損傷
豪雨による冠水時は、水以外のゴミや折れた枝などの漂流物が漂っています。水の中にどんな障害物が待っているか分かりません。そういったものに接触して、車体を損傷する可能性があります。
JAFによる冠水路走行テスト
JAFによる冠水路走行テストでは、セダンタイプは水深60cmで走行不可。SUVタイプの車両では水深60cmでも走行可能でしたが、安全のために迂回するべきだという結論でした。
ラリーに見る渡河装備
様々な状態の道を走るラリーカーは、川を渡る事もあります。普通の状態では渡れない川を渡るために、シュノーケルというインテークに水が入らないようにする専用装備を取り付け、電装系の防水対策を行います。
クロスカントリーラリーバハ・ボンバルディア
豪快な水しぶきを上げて泥まみれの道を走っています。車体の右側にシュノーケルが伸びていることが確認できますね。走行している道路の意外と水位は低そうだということが分かります。
サファリラリーを走るトヨタ・セリカ
こちらはサファリラリーのセリカです。サファリラリーでのシュノーケルは、砂塵を吸い込まないようにするという側面も持っています。
冠水路は迂回しよう
冠水路を走るのは、車にとってかなりリスクの高いものだということを解説しました。水深の深いところを渡るという目的のために準備をしておらず、通った後に車体を総点検したくないのであれば冠水路を渡るのは避けた方が賢明です。
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