皆さんは車を選ぶときに、何を基準にしますか?どれだけ荷物が載るか、何人乗れるか、スタイルはカッコいいかなど、色々基準があると思います。でも、一番気になるのは安全性ですよね。
でも、安全性と一言にいっても色々な種類があります。
例えば、車が衝突する前に自動で止まってくれるプリクラッシュ性、もしもぶつかってしまった時に中の人を守ってくれる衝突安全性能、そして、運転するときの安心感を与えてくれる走行安定性などなど、車には状況ごとに安全性を測る尺度がたくさんありますね。
この中で、普段私たちの運転している時に実感できる安全性とは何でしょうか?
自動ブレーキも、衝突安全性も、「事故に合うか合わないか」の瀬戸際で効果を発揮するものです。いわば、転ばぬ先の杖ですよね。
しかし、走行安定性だけは普段の運転から実感することができます。
この走行安定性にこだわって、独特のレイアウトとAWD(4WDのスバルでの呼称)にこだわった車づくりをしているのがスバルなんです!
そのこだわりを知ってほしい!そしてスバルに乗ってほしい!この記事で、スバルがこだわるAWDの特徴をのお伝えしたいと思います。
4WDとAWDの違い
スバルでは4WDのことを「AWD」と呼んでいます。
これは、4WDが「4つのタイヤを動かす」という意味の「4 Wheel Drive」に対して、「All Wheel Drive」つまり「すべてのタイヤを動かす」ということを強調するためです。
6輪だろうと8輪だろうと、全てのタイヤを動かす。スバルの車に対する信念を感じられませんか?
シンメトリカルAWD
ボンネットを開けてエンジンを見てみると、多くは進行方向に対して横向きに置かれていることが分かります。これは、縦に長いエンジンを、横向きに置くことで車内の空間を広くするための工夫です。
しかし、エンジンが横を向いていると、車の左右のバランスは悪くなります。また、エンジンの出力軸が車の中心軸からずれるため、左右でトルクに差が出ることにもつながります。
スバルのエンジンレイアウトは車の中心軸に沿って縦置きになっており、上から見るとパワートレインが左右対称の形になっています。この左右対称なレイアウトは「シンメトリカルAWD」と呼ばれており、スバル車の基本的なレイアウトとなっています。
シンメトリカルAWDによって、電子制御に頼ることなく高い安定性を確保することができます。
スバルのAWDの種類
スバルが現在ラインナップしている車種は、すべてフルタイムAWDのモデルがあります。しかも、全てが同じ形のAWDではなく、車種ごとの用途に合わせて最適な方式のAWDシステムを使い分けています。
現在のスバル車のAWD方式は3種類あり、それぞれ適した車種に搭載されています。それぞれのAWDシステムの特徴を紹介します。
アクティブトルクスプリットAWD
アクティブトルクスプリット式のAWDは、前輪をメインの駆動軸とし、後輪には電子制御式のクラッチを使って動力を伝達します。
他社でも同じ方式のものは多くありますが、その多くがほとんどの時間はFFとして走り、滑りを検知したらクラッチを繋いで後輪に駆動力を伝えます。
スバルが他社の制御と違うのは、前60:後40のトルク配分を基準に、常に後輪にも駆動力を配分していることです。アクティブトルクスプリット式AWDでは、車庫入れ時などの限られたタイミングでしかFF状態になりません。
他社のトルクスプリット式の方が、抵抗が少ないので燃費は良くなります。それなのになぜ、スバルはわざわざ常にすべての車輪に駆動力を分配しているのでしょうか?
それは、常に全輪に駆動力を配分することで走行安定性を高めるためです。滑りを検知してから動力を繋ぐのでは、どうしてもタイムラグがあります。
常に動力を配分することで、タイヤの空転を予防することができます。それに加えて、空転してしまった場合のリカバーリーの時間を最小限にすることができるんです。
アクティブトルクスプリット式AWD搭載車種
インプレッサスポーツ/G4・XV・レヴォーグ
VTD-AWD
センターデフを使用した、本格的なフルタイムAWDシステムです。駆動力配分は遊星歯車機構によって前45:後55と少しだけ後輪よりに設定されています。
センターデフによって常に駆動力が分配されるため、よりスポーツ走行に向いたシステムになっています。電子制御LSDによる緻密な制御で、走行状態に適したパワーの配分を自動で行ってくれます。
アクティブトルクスプリット式と比べて構造が複雑になるため、より高いグレードの車種に搭載されています。
スバルのフラッグシップ車種であるレガシィにも、この方式のAWDシステムが搭載されています。
VTD-AWD搭載車種
レガシィB4・アウトバック・WRX_S4
DCCDAWD
スバルで最も戦闘力の高いスポーツセダンであるWRX・STIに搭載されているAWDシステムです。前41:後59とFR色の強い駆動力配分に、ドライバーが効きを調節できる電子制御式LSD「DCCD」が組み合わされています。
このDCCD付AWDシステムは、1990年代から改良を重ねられ、熟成されてきたシステムです。歴代のWRX・STIに搭載されてきたシステムなので、DCCDを扱うとスバルのスポーツスピリットを感じることができます。
主な搭載車種
WRX・STI
他の4WDシステムとの比較
スバルのAWDシステムには大きく分けて2種類のシステムがあることが分かったと思います。ここで、スバルのAWDシステムと、他の4WDシステムを比べてみましょう。
トルクスプリット式4WDとの比較
トルクスプリット式4WDは、コンパクトカーや軽自動車など、価格帯が安い車種に多く見られる4WDシステムです。スバルのシステムと比較するなら、アクティブトルクスプリット式AWDと比較することになります。
特に単純な構造のトルクスプリットは、「ビスカスカップリング」という流体クラッチで接続されています。
ビスカス式トルクスプリット
ビスカスカップリングは、カップリング内にある多数の板の間に高粘度のシリコンオイルが満たされていて、それが回転速度に差が出ると熱でオイルの体積が増え、板同士が密着して動力がつながるという仕組みです。
ビスカスカップリングの特徴として、駆動力がつながるのが自然で運転者の感覚にあっていること、駆動力が強すぎないこと、センターデフ式に比べて安価であることが挙げられます。
しかし、ビスカス式トルクスプリットでは走行時のスリップに対処することは難しく、主にスタック防止に効果を発揮します。
軽自動車、安いコンパクトカーの4WDは大体この形式なので、4WDだから安心だと思っていると手痛い失敗を招くかもしれません。
アクティブトルクスプリット
他社のアクティブトルクスプリット式は、普段はFFとして走り、発進時やスリップを検知したときに電子制御によって後輪にも動力を伝えるという形が多いです。
この方式なら燃費の悪化を最小限に抑えることができ、かつ走行時の安定性も確保できるのでいいとこどりのような方式です。しかし、スリップしてから動力を繋ぐという特性上、スリップの予防や走行時の安心感は、スバルのAWDほどではありません。
ハイブリッド型
4WDハイブリッドカーには、プロペラシャフトを持たずに後輪をモーターで駆動させることで4WDを実現しているものもあります。重いプロペラシャフトを持たず、エンジンに負荷も掛からないため、ハイブリッドカー特有の新しい4WDの形といえます。
センターデフ式4WDとの比較
現在、センターデフを使用している普通の乗用車はほぼありません。そのため、クロカンを視野に入れたSUVや、クロカン車がVTD-AWDの相手ということになります。
デフロック機構を備えたセンターデフ式4WD
デフロック機能を使うことで、左右、または前後のシャフトを直結させることで、旋回性を犠牲にして走破能力をあげることができます。特に悪路でのスタック予防に使えるため、高性能なSUVやクロカン車に備わっています。
走破能力は高いですが、普通に走っている状態でデフロックをかけるような機会はまずないので、冬場の雪、凍結路の走破やレジャー用途以外での使用は考えずらいです。
スポーツよりとはいえ、セダンにセンターデフを備えた本格的なAWDシステムを搭載しているのは、日本ではスバルぐらいのものです。海外ではアウディぐらいでしょう。
それだけ、スバルがAWDと、それによってもたらされる安全性に注目しているかがわかります。
まとめ:スバルの4WD技術は安全への想いの結晶だ
AWDと一言で言っても、目的に合わせてたくさんの種類のシステムがあります。4WDシステムは、各社がもつ技術や考え方の結晶といえるでしょう。その中でもスバルは特に「日常使用での安心感」を念頭においてAWDと向き合っているように感じます。
4WD、AWDに少しでも興味を持ったなら、まずあなたの愛車のメーカーの、4WD関連の技術を調べてみてください。そのメーカーが、車に何を求めているかがより深く分かると思います。
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