みなさんご存じだと思いますが、車にはタイヤが4つついています。今の乗用車は、普通は前にエンジンがついていて前の2輪を動かして走る「FF」方式が主流です。
雪国に住んでいる人や山に住んでいる人は、車を選ぶときに周りから「4WDのにしときな」といわれると思います。なんで4WDにする必要があるの?と疑問に思いますよね。
実は、4WDの車は、2WDよりも「走破性」と「走行安定性」が優れているんです。そして、「発進のしやすさ」が、雪国や寒冷地で4WDが求められている理由です。
今回は、そんな4WDのメリットとデメリット、そして車を買うときに、2WDと4WDのどっちを選ぶべきなのかについて解説します。
4WDの特徴
そもそも、なぜ全てのタイヤに駆動力を伝える必要があるのでしょうか。今の車は、多くがFFといって、前輪のタイヤにしか力は伝わっていません。わざわざ4WDにするのは、走行安定性のためなんです。
4WDは走行安定性が高い
どうして4WDにすると安定するのでしょうか。例をあげてみましょう。水たまりなどで片側のタイヤがスリップしてしまったら、2WDであればスピンしてしまう可能性が高いです。特に、FFでは前輪がハンドルと駆動力の両方の役割を持っているのでスピンに繋がりやすいです。
しかし、4WDならどうでしょうか。1つのタイヤが滑っても、あと3つも駆動力のかかっているタイヤがあります。スリップがしずらくなるのがわかるでしょうか?駆動輪が多いほうが、タイヤ一つ一つの負担が減ることになるんです。
4WDは走破性が高い
道なき道や雪道などの悪路を走るラリーカーや、クロスカントリー車は、多くが4WDの機能を搭載しています。4WDの方が悪路に強いからです。
4WDが悪路に強いのは、悪路でもエンジンの力を無駄なく路面に伝えることができるからです。砂地のような滑りやすいところを想像しましょう。
滑りやすい砂地での比較
この砂地では、40のパワーがかかるとタイヤがスリップしてしまいます。エンジンのフルパワーを100として、2WDではこの力を2輪に分けるので、タイヤには最大で50のパワーを掛けられます。
しかし、タイヤは40以上のパワーがかかるとスリップしてしまうので、片側39まで、つまり、2WDではこの砂地ではエンジンパワーを78までしかかけることができないんです。
対して、4WDではエンジンパワーを4輪に分配します。つまり、1輪にかかるパワーは最大でも25。エンジンのパワーをフルに使うことができるんです。このように、4WDは2WDに比べて悪路に強い駆動方式なんです。
4WDは燃費が悪い
4WDは、2WDと比べて燃費が悪くなってしまいます。これは、2WDに比べて倍のタイヤを動かすための装置やシャフトが必要になるためです。
そして、増えた部品の分だけ抵抗も増すので、その分エンジンへの負担も大きくなります。その結果が、燃費として跳ね返ってくるわけです。
2WDの特徴
2WDは、前か後、どちらかの2輪に駆動力がかかる駆動方式です。今の車は、多くが前輪を回すFF方式です。昔のクラウンや、教習車のコンフォートはFR方式といって、後輪を動かす駆動方式でした。
ここではFF方式に絞って、特徴を書いていきます。
2WDは燃費がいい
2WDは、4WDと違ってタイヤを2つ動かすだけでいいです。そのため、重いシャフトなどの駆動関係の部品が少なくなり、その分車重が軽くなります。
エンジンにかかる抵抗も減るため、4WDに比べて燃費が良くなります。4WDと2WDのラインナップがあるカタログを比べてみると、違いがよく分かります。
2WDは安い
2WDの方が4WDよりも部品が少ないため、その分金額も安くなります。それに、タイヤの減りも少なくなるので、適切なローテーションをしてやればタイヤも長持ちします。
2WD(FFのみ)は車内が広い
4WDは(FRの2WDも)後輪にエンジンの力を伝えるために、プロペラシャフトが必要です。4WD車の車体の中央が盛り上がっているのは、プロペラシャフトが通っている空間です。
FF車ではプロペラシャフトがいらないので、車体の真ん中のでっぱりがなくなり、フラットな車内にすることができます。
4WDはスポーツカーやSUVに多い
4WDの車といわれて、一番っ最初に思い浮かべるのはどんな車でしょうか。多くの人が、三菱・パジェロやトヨタ・ランドクルーザーを思い浮かべると思います。モータースポーツが好きな人なら、アウディ・クアトロやスバル・インプレッサを思い浮かべるかもしれません。
これらの車に共通することは、未舗装の悪路を走る車たちであることです。これらの車種が4WDをウリにしているのは、4WDの高い悪路走破性をウリにしているからなんです。
4WDがクロカン車に多いわけ
パジェロやランドクルーザー、軽ではスズキ・ジムニーなどのクロカン車は、道なき道を進むオフロードカーという側面が強いです。大きなタイヤ、高い最低地上高、無骨な作りのボディは、スパルタンな魅力を持っています。
こういったクロカン車のユーザーは、登山や釣りなどのアウトドアを楽しむ傾向にあります。彼らは、未舗装の林道に入ったり、真冬の雪山にスキーにいったりと悪路を走る機会が多いです。
人の来ない山道で、スタックして動けなくなったら最悪です。そのため、悪路に強い4WDの中でも、特に悪路の突破に強いデフロック機能のついた4WDが「機能として」求められるのです。
4WDがスポーツカーに多いわけ
特に日産・GT-Rやスバル・WRX、そしてランサーエボリューションなど、ハイパワーなスポーツカーには4WDが搭載されていることが多いです。
これは、エンジンのパワーを余すことなくタイヤに伝えるためです。高性能な電子制御LSDもセットでついているため、よりエンジンの力を繊細にコントロールすることができます。
4WDの簡単な分類
4WDと一言にいっても実はたくさんの種類があります。目的によって特徴が違うので、車を選ぶときに「4WDってついているからいいや」と選んで、後から後悔するかもしれません。
そうならないためにも、4WDの簡単な分類を紹介します。最低限これがわかっていれば、買った後に「こんなはずじゃなかった…。」とはならないはずです。
パートタイム式4WD
パートタイム式4WDは、クロカン車や軽トラ・軽バンなどの貨物輸送車に多い方式です。普段は2WDで走り、悪路に入るときやスリップの心配がある場所では4WDに切り替えて走ることができる4WDです。
2WDの燃費と4WDの走破性を両立できるのがメリットですが、切り替えなければ2WDなので、走行中のスリップには無力です。また、燃費も生粋の2WDには敵いません。
フルタイム4WD
走行中もずっと4WDで走るタイプの4WDです。スバル車全般と、一部高級車、スポーツカーに多いです。常に4輪が駆動力を得ているので、スリップに強い方式です。
しかし、悪路走破性はデフロックのついている4WDよりは弱く、車体価格が高くなりがちです。
スタンバイ式4WD
普段は2WDで走り、スリップを検知すると4WDになる方式の4WDです。普段は2WDなのでフルタイム4WDに比べると燃費が良く、安い値段で買うことができます。
今の普通車で、4WDがラインナップされているのは大体がこのスタンバイ式4WDです。
フルタイム4WD、パートタイム式4WDに比べると構造が簡素なので、安いものでは4WDがあまり働かず、発進時のアシスト程度にしか機能しないものもあります。
4WDと2WDのどっちを選んだらいいのか
ここまで4WDの特徴を書いてきましたが、どうでしょうか。4WDは2WDと比べて、完全に上回っているわけではないことが分かると思います。こうなると、もっとどっちを選んだらいいのか分からなくなっているかもしれませんね。
大切なのは、あなたが、4WDに何を求めているかです。安い4WDでも、冬に駐車場から出られるだけでいいならまったく問題ありません。しかし、走行中の安定性が欲しいなら、安いスタンバイ式4WDを買うべきではありません。
そして、今の日本で4WDが求められるような道や状況は少ないということを知っておきましょう。車には高度な電子制御が施され、スリップする前に対処してくれます。道路には融雪剤が撒かれて数時間もすれば雪は解けてしまいます。
温暖化で凍結するようなことも減ってきました。それに、あなたは舗装されていない山道に入るようなことはありますか?
もしパッと浮かんでこないようなら、実用面で4WDが必要なことはないはずです。2WDよりも高価で燃費の悪い4WDを、わざわざ選ぶ必要がないのなら、素直に2WDを買っておきましょう。
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